2009-08-26

日本の店員独特の発声のナゾに迫る

Dot Com Lovers: 逆カルチャー・ショック・レポート

↑ハワイ大学教授吉原真里氏の日本滞在逆カルチャー・ショック体験。
その一つ、デパート店員の独特の発声と抑揚について、ちょっと一考。

> デパートやブティックの女性店員の「いらっしゃいませえ」「どうぞごらんくださあい」という
> あの独特の発声と抑揚は、いったいどこからきたものなのでしょうか?
> 私はあれを聞くたびになんだか背筋に悪寒が走る思いがするのですが、

私もまったく同感です。が、理由もわかります。

それは、ズバリ、楽だから。

学生時代、繁忙期のデパートで何度かバイトをした経験から言いうと、、、

腹から声を出し、感情込めて、表情豊かに、一人一人に接客するのは、相当の労力です。しかも、客と店員の間には、必ずしも双方向的なコミュニケーションが成立しているわけではありません。(店員が一方的に発話しているシチュエーションが多い)そのうち、声帯が省エネな発声方法を覚え、自然あのようなlifelessな話し方になる ・・・ のではないかな?

例えば1回の接客@レジで、店員は、「いらっしゃいませ」から始まって、「お会計○○円になります」「□□円お預かりします」「△△円のお返しです」「ありがとうございました」「またお越しくださいませ」など、少なくとも5~6回の発言をします。これに対し、「ありがとう」とか「おつかれさま」いう客もいるが、終始無言の客もいる。というか、無言の客の方が圧倒的に多いのです。たいていは、無言の客に向かって、店員が一人でしゃべっている構図。言うなれば、店員に対して、人間としてのリスペクトを示す客が、それだけ少ないということなのです。

すると、われ知らず機械仕掛けのお人形モードになってくるもの。たまに、お客さんから「ありがとうね」といわれると、思いがけず帰ってきた“生きた”反応に、ふとわれに返り、とてもありがたい気持ちになり、同時に、あ!機械化してた!>自分 と気づくのです。実際、バイト中、そんな瞬間が何度かありました。

確かにあの発声と抑揚は、私もいただけないな~と思います。でも、「お客様は神様」の日本の商習慣の中で、ひたすら丁寧に、腰低く接客し続けることを旨とする接客業の人々は、客の態度がどうであれ、愛想よい物腰をキープしなければいけません。多くのサイレントな買い物客に対して、いちいちlivelyな対応をしていては、身もココロも声も、もたないのです。

そんなこんなの実体験を経て、 私は下のような認識に至りました。

「お客様は人間です。店員も人間です。」 

以来、スーパーのレジでも、必ず相手の目を見て、「よろしく」とか「ありがとう」と言うようになりました。あの発声と抑揚は今も好きではありませんが、買い物をするたびに、デパートでのバイト・デイズを思い出し、接客してくれる店員さんに、心の中でひそかなエールを送っています。

0 件のコメント: